魅惑の木蓮
葬祭ムード満載でいきましょう♪
ジジイが死んでもジジイの植木コレクションはジジイの死に関係なく季節が来れば花ひらく。圭子の夢は夜ひらく。
It automatic。
ここのところ、残されたバァさんはこの桃源郷かのごとく花咲き乱れる庭の木々の手入れに余念がないらしく「オジィさんがみんな集めたんだよ」って言葉を繰り返す。大丈夫か?
しかしそう云われてみると、あの庭の花木たちは...どうしてなかなかスバラシイ。それで目をつけていたのがこの木蓮。枝っぷりから紫木蓮なんだろうなぁ...とは思っていたが、こうも美しい形状の花をつけるとは思ってもいなかった。やるなジジイ。
バァさんの話に依ると定年後にしていた仕事中に気に入った花木があると何かしらの謝礼を持って譲ってもらいに出向いていたとのこと・・・ふーん?あのジジイにそんな情熱があったんだ?って、かなり目からウロコ。
バァさんは、折角なのであと暫くは人生を楽しむ。のだそうだ。
しょうないので、あと4-5年はそう出来るよ。と答えておいた。ババァ御年84才。ガボは「オジイちゃん、オバァちゃん、ずっと元気でいてね」って敬老の日にガキに言わせる大人が嫌いだ。だってずっと元気でいられるワケないじゃん。そんなのよっぽど言われた方が知っている。結局は空しいだけだ。
ジジィが未だ元気なときに、ふと言った。
「おじいさんは死にたくない」。って。
ジジィ、ガボに振るなよ。って脱力したついでにクチを突いた「戦友はみんな死んじゃた。っていつも言ってるじゃん。 ここまで生きたらもういいじゃないん? 」って言った。ジジィは絶句していた。.......思いの外、湿度の低い空気を感じた。
ジジィはクチが利けなくなるまで「おじいさんは死ねない」と言い続けていたらしい。やっぱり二荒山神社で出会って当時にしては稀な大恋愛を経て人生を共にした...このバァさんを思いやっているらしかった。「火の用心」が座右の名だったジジイ。死ぬ2週間前には温かかった。
死んでから触ったら冷たかった。初めて死体を触った・・・母親には「死体じゃあなくて遺体」と冷静に指摘された。血とは恐ろしい。
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